自分の魂が揺さぶられる声、音楽、律動、いろいろあります。

生きていく上で必ずしも必要じゃないかもしれませんが、それがあることで自分を律してくれる存在。

それらを少しでも近くで感じていたい、という方へのお手伝いができるといいねえ、というポリシーを携えたオーディオ屋です。

naim audio NAP250リキャップ作業

注文しておいた部材が揃ったので作業開始。

画像の左側が基板全体。ステレオアンプなので2ch分が4枚の基板で構成されていて、ケーブルの接続は差し込み型のコネクタになっています。ケーブルはすべてきれいにフォーミングしてあるので、取り付け先を間違うことはまず無いです。手前側がアンプ基板で、奥側がレギュレータ基板だそうな。

右上画像はレギュレータ基板。黄色くて丸っこいのがタンタルコンデンサですでに交換済みです。放熱用ヒートシンクからトランジスタを取り外して、放熱用のシリコングリスを拭き取っているところです。拭き取り時にはキムワイプが最良。ティッシュだと拭き取り跡がいつまでも残ります。拭き取り完了後にはIPAで洗浄して、新品のシリコングリスを塗ってから元通りに装着します。IPAといっても苦いビールじゃない。

右下画像はアンプ基板。真ん中のゴールドと青メタの円筒型がチューブラ型の電解コンデンサで、これから交換するやつです。-側の半田が熱で相当に変質しててリードを抜くのに苦労しました。ハンダごてを当てた時に異臭もしたので、このコンデンサは液漏れしていたと思われます。後述しますが交換前の歪率が悪かったことの原因でしょう。

この作業を2台分、合計で8枚の基板に対して行います。

基板への作業完了後は筐体への取り付け、各種ケーブルの装着を行っていよいよ通電となりますが、この時がやはり一番緊張します。何度も何度も基板上の交換済み部品を見直して極性の間違いや定格の間違いがないかを確認、ケーブルの装着位置が間違っていないかを何度も指差し確認。気分が落ち着くまで5分くらいはかかります。

漸く気持ちの整理がついたので、まずは電源ケーブルだけ装着して主電源SWをON!

前面のパイロットランプが点灯していることを確認してからしばらく放置。異臭の発生や部品の爆発(極性を持っているコンデンサは、取り付け時に極性を間違うと異臭を放って爆発したりします)が起きないことを確認してから、SP端子間のDC電圧をテスターにて測定します。NAP250の規定値である30mV程度だったのでまずは安心。ここで一度電源をOFFにしてから、測定器を接続します。日立のオシロスコープとhpのオーディオアナライザです。年代物ですがまだまだ問題なく使用できます。

まずはLchの動作確認。無事綺麗な正弦波がオシロスコープに表示されました。入力信号は1kHz/0.5Vの正弦波で、歪率は0.0335%です。年代物のパワーアンプでこれなら上等でしょう。画像は無いですが、到着時の歪率は2%超えでオシロスコープで見る波形は発振していました。ヤベえなあ、とか思ってましたがまずは一安心。

あとはサクサクとチェックを行い、2台とも全て問題ないことを確認してから一晩通電放置。

最終的な歪率はこう。

製造から30年程度は経過しているであろうパワーアンプで、これだけ揃っていれば上等の部類です。

漸くの音出し。
プリアンプは同時に貸し出してもらったnaim audio NAC72 & HICAP (画像中段) で、CDプレーヤーはLINN CD12。spはぐねっているMFBH ムンクさんです。フィヨルドの恋人ではありません。ユニットはFOSTEX FE103M (10cm径フルレンジ) 使用、同ユニット発売時に確かMJ誌?で開催された自作SPコンテストで優秀賞だったかを取った作品で、縁があってゆずってもらったものです。サウンドアクセラレータは装備済み。もう20年以上使っています。

出音に全く違和感なく問題なし。なんとなく聴いていて違和感がない、というのが一番大事。さすがのフラットアースサウンドでパースペクティブな音場?なにそれ?てくらい平たいですが、そんなんを吹き飛ばす揺るぎなき実在感がキモ。

ちなみに、naim audioのプリアンプは自前の電源を持っていないので、通常は接続する同社のパワーアンプからDCの+-24Vを供給してもらって動作します。音声信号も同じケーブルを使用して伝送されます。そのため、相互の接続には多極DINプラグを装着した専用ケーブルが必要となりますし、他社製のアンプとの接続はほとんど考慮されていません。しかし、今回のNAP250はプリアンプへの電源供給を行えないタイプなパワーアンプですので、プリアンプは別に電源供給してくれる人が必要となります。そのための外部電源ユニットがHICAPです。HICAPの中には、当時のエントリークラスのパワーアンプよりも容量が大きいトロイダルトランスと整流用のブロックコンデンサが入っています。当時の製品価格はパワーアンプより高かったとか。

そんなわけで作業完了。お代は1台40,000円(部材工賃込/税抜き)です。

(R5/09)現在多忙なため、ネイム製品の受け入れは停止しております。

 

 


お問い合わせや訪問予約はこちらから
サウンドアクセラレータやシルキーユニットの通販はこちらから
Tシャツなどのノベルティはこちらからどうぞ

audio

Posted by takelet2