自分の魂が揺さぶられる声、音楽、律動、いろいろあります。

生きていく上で必ずしも必要じゃないかもしれませんが、それがあることで自分を律してくれる存在。

それらを少しでも近くで感じていたい、という方へのお手伝いができるといいねえ、というポリシーを携えたオーディオ屋です。

複数アーム

いやまあ、こういうのじゃないんですけれど。
アナログレコードプレーヤーであるじゃないですか、こういうの。

これはテクニクスのSL-1000Rですが、アームが3本生えています。なんでこういうことをするかというと、手っ取り早く複数のカートリッジやアームの音を聴くためです。もちろんアームが1本であっても、ユニバーサルタイプのシェル対応のアームであれば交換そのものは簡単です。

しかし、単に交換するだけでは、カートリッジ本来のポテンシャルを発揮することはできません。カートリッジは各々、自重、適正針圧、ボディサイズの違いによるスタイラスチップへの距離(高さ方向)が違うため、交換するたびにアームの針圧0設定、インサイドフォースキャンセラ(アンチスケーティング)の0設定→カウンターウェイト位置調整によるゼロバランス調整→針圧再印加→インサイドフォースキャンセラの再設定、アームの高さ調整等が必要となります。ここいらへんを適当にやっていても、アナログですからもちろん音は出ますけれど、ちゃんとしたければいちいち再調整が必要となります。

複数のアームを生やしてしまえば、アームごとにスキスキスーなカートリッジの装着・調整ができますので、あとは大して考えずに聴くことができます。とはいえフォノイコライザーは複数必要ですし、奥側のアームの操作には気を使いますけれど。

通常、プレーヤーシステムではアームの金属部分とフォノモーター、筐体の金属部分は全て導通がある状態にします。基本はハム音対策ですが、同一筐体内で金属部分が浮いているのは電気的にはよろしくないので。その上でアームリードのGND線とフォノイコライザのGND端子とを接続するのが一般的です。

前出のテクニクスのセットですとアームベースも含めて金属筐体のようなので、装着するだけで全てのアームの金属部分と導通は取れるでしょう。しかし、木製キャビネットを使用している場合や、プレーヤーベースにアームベースをフリーに置くことによって複数アームを実現している場合。ちゃんとフォノモーターの金属部分とそれぞれのアームの金属部分の導通取ってるかなあ、忘れてない?とかふと思ったり。

前職でユーザーのLP12を随分と見てきましたが、内部のGND線が外れてることがそれなりにありました。その状態でも再生音にハムは乗ってないんだけれど、それでもきちんと全ての金属部分の導通を取ったときには再生音のバックグラウンドが随分と静かになります。

ほんの少しの気遣いですが、こういうことの積み重ねが出音を作りますのよ。

audio

Posted by takelet2